おばさんレモン

30歳になりました。映画、ドラマ、漫画、本、もろもろ。

クリームソーダ

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お母さんには内緒で、おばあちゃんと2人で出かける近所の喫茶店。そこは、おしゃべりなおばあちゃんマスターがカウンターから顔を覗かせ、常連のおじいさんがタバコを吸いながら新聞を広げる、今でいうレトロなお店だった。

 

非日常な大人の世界にドキドキしながら、普段は食べることのできないカタカナがたくさん書かれたメニューを眺める。チョコレートパフェか、アイスが乗ったワッフルか、はたまたフルーツポンチか……。滅多にない機会に後悔のないチョイスを。

 

散々悩んだ挙句、結局いつも選ぶのはクリームソーダだった。

体に悪そうな緑色の炭酸ジュース。上には甘い甘いバニラアイス。そのどちらもを同時に食べられるクリームソーダは、子どもの頃の憧れの一つだった。

メロンソーダに溶けたバニラアイスが氷とくっついたところを、スプーンでつついて食べるのがおいしい。そう教えてくれたのは『ちびまる子ちゃん』だったか。

 

大人になって自分のお金で自由に何でも選べるようになると、はたと遠のいてしまうのは何故だろう。カラオケか映画館でたまにメロンソーダを頼むくらいだ。いや、同じ炭酸ならジンジャーエールを頼む方が多い。

 

現代の女子高生にとって、クリームソーダは“かわいい”らしい。

透き通った緑の液体に無数の気泡が生まれ、溶け出す丸いバニラアイスの横にちょこんと置かれた赤いさくらんぼ。

確かに、言われてみれば、何故今まで気づかなかったのかわからないほど、その見た目は女子の心をくすぐる。むしろ、ここまでかわいい飲み物はないというくらい、かわいい。

 

このかわいさを存分に味わえる、YouTube配信型のドラマがある。

『放課後ソーダ日和』(枝優花監督)

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映画『少女邂逅』のアナザーストーリーとなっているこの作品は、1話7-10分ほどの短編ドラマで、全9回。暑くてうんざりした今年の夏の、涼やかな楽しみだった。

 

女子高生が放課後に実在する喫茶店のクリームソーダを飲みに行く話……というと、女子高生版孤独のグルメみたいな感じがするが、そんな楽しみ方でも良いと思う。

少女漫画から出てきたような、3人の設定(モデル活動中の派手なモモ、優等生で地味なムウ子、ごく普通の女子高生サナ)は女子にはたまらないし、徐々に深まる友情、恋の悩み、進路への不安……と普遍的なテーマでありながらクリームソーダと音楽のポップさがなんとも現代的。これがエモいというやつか。

 

と、ここまで書いていたのは8月中旬。時の流れに身を任せて気づけば10月も終わろうとしている。恐ろしい。

 

このたび、第28回映画祭TAMA CINEMA FORUMにて、枝優花監督特集が組まれるということで、日記もアップしておこうと思い立った。最終日11/25に、『さよならスピカ』『少女邂逅』と併せて『放課後ソーダ日和』も3話分上映とのこと。素晴らしすぎる。枝優花監督のトークもあるらしいので、これは行きたい……。

ロケ地巡りも兼ねて、プチ旅行でもしようかな。